2011年12月30日金曜日

それでも時は過ぎて

厳しい一年が過ぎようとしています。恒例の十大ニュースを見ればどれもなるほどと思うものばかり。しかし平成23年は東日本大震災のショックがあまりにも大き過ぎました。原発のその後にも暗澹たる思いで呆然としたまま。被災地の方々を思えば直接被害の無かった私は幸運に違いないのですが、何かが違うと感じるのです。年賀状を出す気にもなれず、新年に頂戴した方にのみお返しすることにしました。御無礼ご容赦下さいませ。



十大ニュースの中に「大阪新市長選に橋下氏圧勝」がありました。とは言え元市長に52万票も入ったのですから圧勝とは言い難いところ。しかし大事なのは、既得権益者・既成政党・マスコミがこぞって反橋下キャンペーンを張ったにも拘わらず堂々たる勝利を収めたこと。リーダーの条件は「次に何処へ行くのかを明確に指し示す」ことだと聞きます。橋下氏の主張はなるほどと頷く事が多いのですが、これは私が東京人で府政に無責任だからでしょうか、既得権益者ではないからなのでしょうか。

橋下氏圧勝の理由のひとつにネットの存在があることは間違いありません。マスコミに捏造されたブームや報道されない事実などが次々に明らかになり、現在起きていることがリアルタイムで駆け巡っているのですから、デジタルネイティブが有権者になった今、安直な情報操作など既に無意味になっているのでしょう。

今年ある会合で、既得権を少し抑えて公平に近づける提案をしました。採決の結果は1票差で否決。なぜこの提案をしたか説明をすると理解を示してくれるものの既得権を手放す人は殆どいませんでした。それが本音なのでしょう。以前、ある有能な研究者が「多数決の横暴」と評したことを思い出した瞬間でした。大阪の既得権は桁違いですから、これからどう実現してゆくのか大変興味深い。マニフェストを全く実現しない政党が政権を摂っている不幸ももう限界。官僚統治からの移行に期待します。




この厳しい一年の中で「なでしこジャパン」の活躍は嬉しくも誇らしい快挙でした。中でも、決勝で対戦したアメリカのゴールキーパーが宮間選手を最高の友人と評したことにはジーンと来るものがありました。PK戦で勝利した時にまず相手キーパーに歩み寄り健闘を称えた宮間選手の行動をアメリカ人にも理解されていることが嬉しく思えたのです。日本人であることの誇りを若いなでしこに教えられるなんて有難いことです。

そんな「惻隠の情」なぞ全く通用しそうに思えない国々に囲まれて、明るい未来を思い描けないまま、今年も静かに暮れて行きます。

2011年10月28日金曜日

キーボードの先へ

ポルシェがデザインした携帯が発表されましたね。さすがポルシェ、BlackBerryもこんなに洗練されて・・・確かにカッコイイのですが、なぜか時代遅れな印象を受けてしまいました。

理由は勿論 iPhone・iPadの、シンプルなイメージが示す未来感に馴染んでしまっているからでしょう。ほんの数年でハードウエアキーボードが既に古いと感じるとは驚きです。まだソフトウエアキーボードでの入力が主ですがAppleは既にSiriのサービスをスタート、日本語未対応なのが残念ですが音声アシスタントが現実になって来ています。

元々SFの電子頭脳にはキーボードはなくて、鉄腕アトムも「2001年宇宙の旅」のHAL9000も人間と会話していましたから、パソコン時代になってあっという間にキーボードだらけになっていった時はちょっと違和感さえ覚えたものです。あれ?未来ってこんなんだっけ?と。

CADの黎明期に夢見たのは、デスク全部がタッチスクリーンでその上で絵を描きワンタッチで3Dホログラムが立ち上がる、というものでした。19’モニターが150万円もした頃ですから正に夢でした。設計側にいるのでマウスよりもスタイラスペンやジョイスティックで絵を描きたいと思っていましたし「やがてCADシステムは飛行機のコックピットのようになる」という方もいて、キーボードとは何かやむを得ず的なスタンスで付き合って来たわけです。

キーボードだと2バイト文字圏は変換が必要なのでちょっと不利。手書き認識に期待もしたけれど頭と手のスピードが違い過ぎてこれもつらい。そこへいくと音声認識は悪くなさそうです。かと言って、ペラペラ喋りながら仕事をしたいわけじゃありませんし人前では恥ずかしい上に邪魔にもなりそう。

でもこれが自動車の中ならプライベートな空間だし安全のためにも音声コントロールは理想的。カーナビがこちらに向かうは必定。なんだかナイトライダーのようですが:-) 折角のポルシェデザインですから自動車の未来も見据えたトータルデザインも見せて欲しいなと思った新製品発表でした。

2011年10月23日日曜日

タイ洪水被害の寄付

タイの洪水被害がバンコクに及びさらに続くとの報道、とても心配です。こちらの大震災の時も援助してくれた親日国、少しでも役に立ちたいと思い義援金の受付先を探してみると、予想外に少なくて驚きます。

とりあえず近くではコンビニ2店(ファミリーマートとセブン・イレブン)に募金箱が設置されていましたので一安心。こちらは東京なので直接大使館へというのが一番確実かも知れないと思い大使館のホームページを見たところ、受付銀行口座が出ていました。本国への第1回の送金は終了したとのことですが、引き続き11月末まで寄付金の受付をしていて、大使館にも募金箱があるようです。大使館の寄付金受付ページは以下からどうぞ

タイ洪水被害者救済のための寄付金受付について

被害面積は本州と同じほどの面積に及ぶとのこと、少しづつでも長い応援が必要と思います。親日国は応援したい!

2011年10月6日木曜日

Visionary スティーブ

朝からジョブズを悼むニュースで持ちきりでした。Apple社のCEOを辞めたばかりで体調の悪さは噂されていたものの誰も想像したくない結末。改めて成し遂げてきたことの大きさに驚きます。心からご冥福を。


私はジョブズのファンではありませんが、彼が世に送り出した製品に魅せられ続けてきました。AppleⅡは高価で手が出ず、ようやく手に入れたSE/30から、Macが発信している ”使える”ではなく”使いたくなる”道具 の魅力に引きこまれて今もiPod・iPhoneへと続いています。

魅力は何かと考えたとき「革新的美しさ」と言ったら短くし過ぎでしょうか。研ぎ澄ますというのか削ぎ落とすというのか、日本的美意識に近いものを強く感じています。経済的合理主義とこの美意識は常に対立していたのかも知れませんが、妥協のない革新的製品を One more thing と言って取り出す魔法に熱狂するシーンが思い出されます。


こんな日ですからスタンフォードでの有名なスピーチ映像を探してみました。膵臓癌手術の後でもあり、心に響くエピソード・名言に溢れています。他の人から言われたら反発しそうなことも、穏やかで誠実な話しぶりに誰もが頷いたことでしょう。若き日の傲慢さは微塵も感じられず・・・



「人は形にして見せて貰うまで自分は何が欲しいのかわからないものだ」

そのスピーチのものではありませんが、これは彼の名言の中でずーっと気になっているもののひとつです。と同時に得心がいかないままでもいるのですが、それを確実に実行し続けた天才がジョブズだったことは疑う余地がありません。製品で世界が変えられることを証明した・・・彼を一言で表す言葉が見つからず追悼記事をながめていたら・・・

tech visionary

英語のニュアンスは分からないのですが、この visionary という単語が妙に腑に落ちる気がしました。いつも先を見ていたスティーブ、足元を見誤ることはあってもその先は正しかったとしたら紛れも無い天才。さらなる先を若いスタンフォードの学生に託そうとしていたのでしょうか。昨日の出来事は世界中の更に多くの若者に伝えたのではないかと思います。


2011年9月24日土曜日

超光速ニュートリノ発見?

昨日は久々に興奮しました。たまたまネットでニュースを見ていたら「CERNが光速超える粒子発見!」の見出し、もう仰天でした。記事では「アインシュタインの相対性理論ピンチ!」と書かれていたのですから、これが本当なら今までの常識が覆ることになります。といっても相対性理論を理解できていないので常識のハードルがちと高すぎますが。

写真は23日夜のCERNライブセミナーのひとコマ。英語も内容も解らないまま2時間ほどのwebcastを見ていましたが、立ち見の人もいて相当な研究者がつめかけていた様子。一般人にも公開してくれるのは有難いことです。正直なところ、もっと盛り上がるというか、ざわついた雰囲気になるのかと期待していたんですが、淡々と1時間ほどの発表、残りの質疑応答もやはり淡々としたものでした。

セミナーから一夜明けて「超新星爆発の時の測定結果と違いすぎる」とか「artifactの可能性が高い」など疑問視する声も聞かれます。こちらは素人なので、すぐに「タイムマシンも可能?」なんて見出しに飛びついてしまうわけですが、そんな簡単に夢物語に繋がるはずもないことは百も承知。それでもスーパーカミオカンデでニュートリノに質量があることが確認された時も光速の不思議に首を傾げたものです。

友人の科学者が言っていた「教科書に載っていたのは間違いだらけ」を思い出し、今後の展開を楽しみに待つことに致しましょう。


2011年8月17日水曜日

SACLAの夢

昨夜、あるニュース番組でSACLAが紹介されているのを見て仰天しました。X線自由電子レーザー照射施設が完成し公開された・・・とのことでしたが、とにかく原子のレベルでモノが見えるようになるのだとか。化学は全くの門外漢なのに、それがとんでもない可能性を秘めていることが分かる気がしてワクワクしたものです。

なにしろ科学は好きでも化学は苦手。オングストロームなんて高校以来まるで縁のない日々ですから、200倍の顕微鏡でレコード針の先端を覗いて喜んでいるのが関の山。いきなりフェムト秒なんて単位を聞いてもチンプンカンプンです。そもそも昔の知識では「測定しようとして光をあてると対象物が影響を受けて測定結果は真実を現さない」ような本を読んだ記憶も蘇ります。

実は今、見てみたいものがあります。それは空気。
空気の中はどうなっているのか。窒素や酸素、水蒸気の分子がフワフワしているのか、熱くなるとどう振動するのか、その隙間には何があるのか・・・宇宙のダークマターみたいなモノは・・・ないのか
ついでにもう一つ。素材を削っていく時、極限まで薄くしていくと素材の分子厚より薄く削ることは可能なのか・・・素人の疑問は際限がありません(^^ゞ

これまでも、隣接する円形のSpring-8という施設では放射光を使った研究がされており実際の製品開発に役だっている、ことも紹介されていましたが、SACLAの完成で更に「ノーベル賞クラスの発見が次々に起こるだろう」とも。日本の技術力を支える重要な研究が進んでいたことが嬉しくもありました。




2011年4月20日水曜日

都心の木造

木造3階建ての小住宅が竣工しました。着工が遅れたために少し忙しい工事でしたが、無事引越しも済み入居後の雑工事も終わって気持良くお住まいいただいています。

都心の一等地は地価も高く、厳しい敷地にギリギリまで建てる事になります。斜線制限もきびしく階高を抑えて天空率も使っての3階建て。絞り過ぎたかと思うほどのダイエット仕様で外周廻りの工事はさぞ大変だったことでしょう、ご苦労様。

不勉強で今まで取り組んで来なかったセルロースファイバーを使った断熱工法。今回初めて採用したのですが、残念ながら予算調整の段階で自然素材による内装を完全には行えませんでした。ビニールクロスを貼った部分もあるわけで、この違いがどれだけの差として現れるのか、心配でもあり興味深くもあります。

外部は塗壁もあればサイディング部分もあるという複合仕様。敷地状況からの選択でしたが、もっともっと吟味したいところです。最近人気のある縦格子の木製ルーバーをファサードの半分くらいに設けました。これも予算調整でアルミの代替案が浮上、しかしここは譲れないところ。断面サイズを調整して無垢で残すことができ、この家の存在感を増してくれています。

縦格子というのは不思議なもので自然と落ち着く感じがします。和風のつもりはなくても格子の中へ入るとフッと静かになったような・・・。メンテナンスは掛かりますが日差しの移ろいなど季節を楽しんでいただけたらと。

電力供給が心配な昨今、今年の夏はこの断熱性能と併せてクーラー最小で過ごせますように。

2011年4月16日土曜日

レンズの向こう側

永く噂の白いiPhoneですがようやく出てきそうですね。私はあと1年使って5になってからかなと思案中。

最近は、地下鉄に乗ったりすると向かい合ったシートで6人前後はiPhone4を覗いています。3Gも含めれば普通の携帯と同数かそれ以上の普及率! なんともよく売れたものです。女性もカラフルなケースで愛用しているようですから、はたしてホワイトは売れるのかと心配に:-)

私のiPhoneは裏面にこんなデカールを貼っています。厚めのシールなんですが、ライカM8の画像がレンズ穴までぴったりサイズでなかなか良い感じで納まります。アメリカからですが注文して直ぐに送られてきました。他に2眼レフのものやアニメ、ジョークの利いたものまでいろいろ楽しめます。

3Gの時は接写レンズ付きのケースを買いましたが、4の場合はケースが似合わないのと機能アップがないのでそのままで使っていました。カメラの性能が上がり普通のデジカメなしでもなんとかなるのでつい撮りまくってしまうのですが、その時ふと思ったのです。写真を撮るときは「撮りますよ~」と伝えたほうが良いんじゃないかと。

今時、携帯で写メは当たり前、何を今更と思いつつ、レンズを向ける方向に一定の配慮するのは大人の嗜み?かどうかは分かりませんが、ちゃんとカメラを構えて「これから撮ります」宣言にもなるかなというつもりで愛用しています。舞浜へ行った時もこれで撮影してきましたが向けられない場面もありました。知らないうちに撮られるのは嫌なはずですから。

でもiPhoneホワイトだったら貼るかなぁ・・・悩みますね:-)

2011年4月1日金曜日

液状化の今後

舞浜・新浦安エリアへ行ってきました。液状化被害が早くから報道されYouTubeで映像も見ていましたから大体の様子は分かっているつもりでした。既に3週間近く経っているので復旧も随分進んでいるように見えたのですが・・・

舞浜在住の友人の案内で自転車で移動。泥土の撤去が進んだ住宅街でも沢山の塀が傾いたままで、エリアによっては傾いていることがはっきり分かる住宅が並んでいるところも。今も家のポーチを箒で掃除している住人の方を見るとお気の毒でカメラを向ける事もできません。

道路にはあちこちに下水作業車が見られます。下水管の中で流れの良くない部分をマンホールから汲み上げているようでした。友人によれば、この2週間で一番嬉しかったのは「自宅のトイレが流せるようになったこと」だそうで、近所の公園などには今も仮設トイレが並んでいました。大きな通りの歩道には仮設の給水管が引かれていてポリタンクに注水している住民の方の姿も見かけます。それでも、上水はまだ良いそうで、下水が使えないのは本当に辛かったとのこと。顔を洗ってもその水を庭に運んで捨てねばならず、寒い夜に公園の不衛生な仮設トイレに行く・・・想像するだけで気が滅入ります。


斜めに沈下した交番、傾いた電柱や標識、60cm以上も舗装面と段差ができてしまったショッピングセンターやホテル、飛び上がっているマンホール・・・報道されているとおりなのですが、不思議なのは被害の大きいエリアとそうでないところが入り組んでいて、道路の左右で違ったり、同じ住宅地でも特定の通りに沈下が目立つものの、開発時期の同じ地区全体が被害を受けているようでもなさそう。住宅地では確かに古い開発地域は被害が少ないようなのですが実際の埋立・開発時期との関係は明確には感じられませんでした。大通りと裏道ではかなり印象の違うところもあり、今後の専門家の判断に期待します。

この湾岸エリアは「日本のLA」と言われていたほど人気があり、特に舞浜エリアは高級住宅地でそろそろ建替時期にも差し掛かっています。現に、新しい住宅を建て入居直前に震災にあった建物や地鎮祭の竹笹が立っている区画もありました。液状化については購入時から可能性を指摘されていて多少なりとも覚悟はしていたものの、実際に起きるとまでは思っていなかったというのが本音ではないでしょうか。しかしそれが現実になると、これから先また液状化被害に遭う恐れはないのか、という心配から住み続けることに懸念を抱いている人も多いはず。友人からも「一度液状化が起きれば以前よりも締まって心配は減るのでは」ということも質問されました。私は地盤の専門家ではないので明確な回答はできませんが、住民の方は、そういった不安や希望的観測が入り交じり夢を持った楽しい家づくりを考えることが難しい時期。仮に専門的な裏付けがあったとしても、説得と納得は違うので、可能ならば気持ちが落ち着く時間を取って欲しいところです。


この写真は耐震性飲料用貯水槽なのですが残念なことにマンホールが飛び上がってしまい期待通りは機能しなかったのではと想像します。浦安市は今回の災害でインフラ復旧と対策の貴重なノウハウを蓄積したことでしょう。今後同種の問題を抱えるかも知れない市町村にとっては最重要な情報提供者となるに違いありません。今回の経験を活かして、このエリアを今まで以上の「夢の街」に育ててくれることを願います。

2011年3月23日水曜日

東日本大震災

信じられない光景でした。町の中を、船も車も家までもが流されてゆく・・・

新潟の時も神戸の時も、一瞬「映画?」と錯覚するような映像がテレビから流れて来たのを思い出しますが、恥ずかしながら、今回初めて津波の恐ろしさを知りました。もはや建築のレベルでなく土木を超える力が押し寄せてくる・・・なんという無力感

正式名称は「東北地方太平洋沖地震」のようですが、その後の原発被害の広がりもあり、東日本だけでも済まない様相になって来ました。ついに東京でも金町浄水場で乳児に不適なレベルの放射性ヨウ素検出の速報も。数値の変化を見守る必要がありますが、一時的なものであることを願っています。

思えば、大地震・大津波・原発被害は起こるときにはまとめて起こるはず、そんな当たり前のことも真剣に議論した記憶はありません。今も、大きな余震が来るかも知れないというのに、被災者になった場合の心構えは出来ていない体たらく。ただ節電協力・買い溜め自粛以外にできることも見当たりません。

中越地震の後、応急危険度判定士としてボランティア登録してあるものの出動要請は今のところありません。少し調べてみると、各地の青年部会では現地へ危険度判定に出向いていて成果を上げているようでした。しかしながら、被災地の行政が受け入れもままならないほど大変な状況であったり、道路やガソリンの確保が難しかったり、福島方面では避難エリア内に入れず引き返してきたりと苦労されているようでもあります。

そんな中で、長野の友人は500kmを越えて栃木の被災した建物修復に向かうとのこと、頭が下がります。避難所の簡易間仕切りシステムを展開しようとしている坂茂事務所の方々や様々な募金活動に協力されている建築関係者の皆さんからも「今なにかしなければ」の思いが伝わってきます。海外では台湾の友情あふれる募金活動や、被災したばかりのニュージーランドからの救援行動に感激しました。

今後の影響を想像する力もありませんが、今出来る事を考えつつ、只々震災の終息を祈るばかりです。

2011年1月28日金曜日

講習は誰のため

管理建築士講習の受講期限が近づいているという連絡が何度も来るので、重い腰を上げてようやく行ってきました。しかし、1日がかりのこの講習、一体何がしたかったのでしょうか。

9:30AMから4:10PMまでのビデオ講習の後、1時間の修了考査付き。テキスト参照可の試験など落とすはずもなく、高い講習料と出席を取られるだけの制度に大いに疑問を感じます。

管理建築士は建築士になってからの実務経験が必要で、建築士にも定期講習が義務付けられているのですから、管理建築士にだけ最低限必要な講習内容で十分なはず。しかしその内容は広く薄く・・・。要点に絞れば半日で十分終わりそう・・・いや、そもそも講習の必要性も疑わしい。必要な法改正の解説を郵送するだけで十分で、何度も送られてくる講習の案内など無駄です。

業界の講習には何度か参加しているものの、ただの一度も「参加して良かった」と思ったことがありません。長時間な上に講習料も高く実務に直接役立つとも思えないので苦痛でしかありません。その証拠に講習後に再度テキストを見たことが無い。テキストを読み返すことがないのは運転免許更新講習も同じですが、あちらのビデオの方が遥かに有意義で、短時間によくまとめてあると感心します。

昨年も、設計契約が「委託」か「請負」かの判断で話題になった裁判があり、業界の関心事の一つですが、最高裁で争う予定となれば結論は出ていない道理。講習では「両方の考え方がある」と素通りで、がっかりというよりウンザリでした。これではまるで素人の学生に講義する程度の内容。どうせやるならもっと具体的に、法律の専門家が現状どう対処すべきか解説するくらい気合を入れて欲しいものです。

講習を主催する側の経験から言えば、参加者がある程度見込めれば講習は確実に儲かります。大きな会場だったりすると、これでいくら儲けるんだろう、とついつい思ってしまう訳で、講習は誰のため?としばし溜息。消費者保護の名のもとに利権の臭いも消えない改正続き。行政と大企業しか生き残れない世の中へ向かうなんて・・・イカサないね。