2018年11月23日金曜日

彼の残したもの

祭日の今日から友人の個展が始まりました。いろいろやりくりして千駄ヶ谷へ向かいます。

駅前は何やら工事中の仮囲い、槙さんの体育館にも近づけません。将棋会館を横目に坂を下りるとこちらも工事中の新国立競技場。隈さんの設計に異論はありませんが、ダイナミックなザハ案に期待していた身としては残念な思いが残るのも正直なところ。

その後、昔勤務していた事務所跡周辺を散歩しながらギャラリーへ

坂の途中にある小さなギャラリーは明るく清潔、既に知人達が来て作品を鑑賞中でした。彼らに会うのも何十年ぶりかで、こんな機会でもないと顔を合わせることも無かったかも。入り口近くに飾られていた生前の写真に懐かしさがこみ上げてきます。

ゆっくり作品を観て回りますが、やはり私には彼が人生を掛けて残そうとしたものを読み取ることができません。それでも彼の茶目っ気がちりばめられた作品にホッとしながら...

道を外れて佇む鳥が、実は本流の端にいて、見上げる先の広い空に思いを馳せる...耳を横に向けながら射貫くような眼を向ける猫...

そんな感情移入してしまいがちな想いでいると...「ハハハ、そんなこと関係ないよ」って声が聞こえてきそう。

 来客に対応している奥様とお嬢さんの姿を見れば、この作品達こそが素晴らしい贈り物。「未完」の作品には伝えたかった感謝の気持ちが溢れ出しそうです。良いものを残したね。

ポストカードになった作品を戴いてギャラリーを後に。
果物を並べて描いた絵が好きだな...バナナの左の3つと右の小ぶりの1つは何を...なんて考えなくて良いんだな、モニターでは出ない色が輝いていたよ。

おつかれさま



本日のBGM:Nokie Edwards "Vincent"

2018年8月28日火曜日

友人の個展

個展の案内が届きました。

友人だった彼の訃報はあまりに突然でしたから、9か月余り経ってもまだ実感がわきません。

奥様からの手紙によれば、告知を受けてから2年半の間に描いた絵を本人の希望を叶えたく計画した、との事。胸が詰まる思いです。


 私は芸大でも篠原研でもないので彼と特別懇意だったというわけではないのですが、設計製図の指導をしていた頃の講師仲間としては、お互いちょっと異端なところがあって妙なところで意気投合したり感覚の違いに感心したりで、会うのが愉しみでした。

駆け出しの頃、仕事の応援を頼んでウチに来てもらったり呑みに行ったり・・・思い出すのは、いつも飄々とマイペースで何よりスタイリッシュ。独特な雰囲気を纏っていました。


絵心のない私には”最晩年に絵を描く”ということの人生の意味を理解することができません。

自分はいったい何をしたかったのか、何をしようとしてきたのか。その答えを出す時期に至った今、彼の個展で何を感じられるのでしょう。


また、あのクリクリっとした眼でさ、バツの悪そうな顔で微笑んでくれよぉ・・