2010年12月31日金曜日

ようやく上棟

今年1年、苦労してきた住宅がようやく上棟しました。小さな敷地で高度斜線もかかるので木造3階建ては大変です。天空率も使ってギリギリいっぱいの計画。ちょっと無理しすぎたかな?と思うところもあるのですが、それだけ夢が詰まっているということですね。

この仕事では、独立したての頃しか記憶にないくらいの大変な凡ミスをして(^^ゞ 少し着工が遅れてしまいました。法規上の解釈について納得のいかないところがあり、役所に問い合わせに行きました。「ダメならダメで仕方が無いが、なぜ認めないのか条文なり通達なり根拠を示して欲しい」と問うと、上司と相談してきた担当者は「明確な条文などはないが役所としてはNoの判断。民間の確認検査機関でOKするところがあるならそちらに出したらどうか」との回答。

さすがにこれにはキレそうになりましたが(^^ゞ これ以上詰めても埒があかないので、別の表現を使い確認検査機関で申請は通しました。実際の計画は何も変わりません。随分ムダな時間を使ってしまった訳ですが、役所の審査課と確認検査会社の関係を考えさせられることになり、またしても「天下り」の文字が頭をよぎったものでした。

それはともかく、このプロジェクトで楽しみにしていることは、セルローズファイバーを使った断熱工法です。ホウ酸処理をしたセルローズファイバーを吹き込むものですが、ホウ酸がシロアリ対策にも有効で不燃化木材にも使われていることもあって期待大。この工法に実績のある棟梁からの推薦で採用することになったのですが、興味深いのは高気密ではないということ。長年ひっかかっていた高断熱・高気密の呪縛に答えが出てくれるのでは、との期待です。

春には竣工予定のこの住宅。決して大きくはありませんが期待は膨らむばかりです。皆様、良いお年をお迎えください。

2010年9月7日火曜日

研究所開所式

友人の会社の中央研究所開所式に呼ばれて行って来ました。9月になってもまだまだ暑い中、大勢の参加者が集まり心から祝っている姿はなんとも嬉しいものでした。友人の挨拶の後、研究所所長の挨拶、なるほどこれは優秀な人に違いない。人材に恵まれるのも全て友人の人徳のなせる技、なんとも誇らしい気分になります。

クリーンルームを見学の際、自社の技術を説明してくれる若手社員の顔もまた誇らしげ。我々とは桁違いの極小単位の世界で何のことやらよく解らないものの、次世代デバイスの研究をしているらしく、その技術の高さは折り紙付き。やる気に満ちた若い人の顔を見るのは嬉しいものです。

席を改め、大きな料亭で宴のひととき。門外漢の私たちにも挨拶してくれる出席者や関係者の皆さんは誰ひとりとして身構えるようなことがなく、驚くほどアットホームで和気藹々。飾らない人柄がここにも溢れています。

彼は笑いながら「この仕事は面白くてやめられないよ」と。
う~ん、こう言える人生って素晴らしい!

2010年8月30日月曜日

夏の地鎮祭

今日は地鎮祭。儀礼的な行事は敬遠されがちな時代でも建築となればこれだけは欠かせません。若い神職の方が来られることも多いのですが本日は年配で声にも品のある落ち着いた宮司さんでした。祭壇は勿論、立派な鯛から野菜類まで全て準備してくれていて大変親切な対応、有り難いです。

あまりの暑さに今回は出席者全員が上着なしで参加しました。そもそも神事なのですから正装が基本、ネクタイは締めているものの上着なしは初めての体験で申し訳ない気持ちになります。滞りなく進み御神酒で乾杯、無事に終わってホッと一息です。

夏の地鎮祭とは言っても土用の丑はとうに過ぎ少しは涼しくなっても良さそうなものですが、今年は本当に暑い。こんな年は冬も寒いのではと心配になります。実はこの住宅では高気密ではない高断熱住宅にトライしようと考えています。この時期の気温と湿度、そして冬場の乾燥にどんな結果が出るのか期待しています。

2010年6月8日火曜日

iPhone4発表

iPadの登場も束の間、ついに新型iPhone4が発表されました。事前情報が飛び交っていたので驚きはないものの、キリッとして美しい。AppleⅡの後継としてⅡcが出てきた時のようです。

機能強化もしっかりなされているようで、スピードアップ、インカメ、マルチタスク・・・と期待を裏切らないVupですが、意外に凄いのがIPS液晶の解像度。ここまで要らないのではと一瞬思った後、ひとつ先を見ているのかもと考え直しました。違和感の徹底的排除、このために必要な最低ラインを越える必要があったのではないかと。

3Gユーザーとしては2年契約が切れるタイミングで乗り換えるのは予定の行動なのですが、迷っています・・・色に:-) iPhoneはブラックが似合います。しかしこの4はホワイトがなかなか良い。特に背面の画像を見ると・・・よろめきます:-)

裏表共にアルミノケイ酸ガラスという、ヘリや高速鉄道のフロントガラスに採用されている材質なのだとか。ガラスという素材は建築をやっていても夢の素材のひとつ、大きく心惹かれます。指紋の付きにくい表面処理もされているそうですが、どうせひと拭きで輝くケイ酸ガラス。これだけ美しいとケースに入れるのは野暮でしょうねぇ :-)


2010年6月3日木曜日

iPadフィーバー

iPadの発売日は大変な盛り上がりでした。Appleフリークが行列するのはいつものことですが、この騒ぎ、自然なのか意図的なのか、マスコミちょっと煽り過ぎでは?

機能的には大型iPodTouchで、既にiPhoneを使っている身としては特に革新的には見えません。にもかかわらず、この過剰とも思えるマスコミの反応。印刷メディアや放送業界の焦りを表しているように思えてきます。

キラーコンテンツはなんと言っても電子書籍モノ。その代表格はソフトバンクが開始したビューンでしょう。差し詰め図書館の新聞・雑誌コーナーのよう。残念ながら今は解像度も落とした上に半分ほどしか見られないそうで出版物購入への誘導的位置付け。いずれこれが十分なクオリティで全ページ公開となる日こそ新時代突入と言えます。

ビューンの凄さは雑誌を中心に新聞、TV番組など、どちらかと言えば消費される出版ものに絞ってある(ように見える)こと。携帯やiPhoneでも見られますがターゲットはもちろんiPad。アクセス過多でダウンしたシステムの増強が待たれます。

これに比べて、日本電子書籍出版社協会が運営するのが「電子文庫パブリ」。どちらかと言えば保存したい書籍中心の内容。iPad対応は秋頃らしいですが、ビューンとは明らかにターゲットが違います。

Kindleなどのブックリーダーはパブリ向き。iPadには雑誌系のビューンが似合いそうです。5年の内に電子書籍が印刷物を越えるとの予測もあり、両者の違いはどんどん縮まって行くでしょう。


その昔、インターネットが普及した頃「やがて新聞はなくなる」と噂されると、識者達は「決して紙の新聞は無くならない」と言っていました。全体を俯瞰し、時間に応じて見出しだけ拾うような情報選別性の良さのほか、弁当を包んだ頃のノスタルジーも含めて紙に対する長年の愛着は捨て難いものがあります。
しかし若い人は携帯中心、ニュースもネットでOK派が多いとか。新聞の勧誘も「ネットで見てる」と言えばすぐ諦めるようになりました。確実に大新聞の時代から離れていっています。「5年の内に・・・」は決して意図的な「煽り」とも思えなくなって来ました。


デジタル化されるのは良いことばかりでもありません。電子書籍に限らず放送と通信分野でもコピーガードやエリア限定などユーザーには却って困ることも増えています。地デジに移行するTV、ネット配信テスト中のラジオ、情報インフラのネットワークはもう有線・無線の区別ではなくメディアの種類でもなくなって行くのでしょう。

大学受験の塾では、英語の電子辞書でなく紙の辞書を推薦しています。結果と直結する塾の指導方法ですから明らかに紙の方が効果があるはず。辞書に付箋を貼りまくる児童で有名になった小学校もありました。そこには、手触りやシワ・よごれ、漠然とした位置の記憶、動かした筋肉の記憶などが総合的に記憶の定着に結び着くのかも。

どちらが良いかというのではありません。情報の伝え方としてはまだ沢山の可能性があるということ。これからもどんどん新しい道具が出てくるはずです。長く主流でいるタイプライター型キーボードも「2001年宇宙の旅」では影も形もありませんでした。新しい道具も今までの足跡から離れすぎないものから徐々に受け入れられ進化していくのでしょう。5年後のiPad・・・想像してみると・・・自分はどう関わっているでしょうか。

2010年5月16日日曜日

春の祭り

先週の神田祭に続いて今日は浅草三社祭。こちらは江戸三大祭には入らないものの知名度抜群、晴天に恵まれたこともあって大変な人出だったようです。

人力車のそばに鼻緒の千切れたワラジが落ちていたりと、担ぎ手の奮闘の痕跡も見て取れるのですが、神輿も大きくはありませんし、人出の割にはおとなしい印象。ひと頃問題になった「神輿の上に乗って煽る」のを禁止していることも影響しているかも知れません。神輿は神様の乗り物、禁止は当然と思うのですがそれ以前は勇ましかったですから。


浅草神社の祭りなのですが隣接している浅草寺が中心の町なので自然と雷門に眼が行きます。神輿は寺に続く参道の仲見世も通るので大提灯も上に畳まれています。お陰で、小さく見える神輿の向こうに現在修復中の浅草寺の屋根も珍しく見えていました。チタンで修復中の屋根ももうじきお披露目となりそうです。

神社は浅草寺の東隣にありますが、その境内の奥に小さなお稲荷さんがあります。被官稲荷というそうですが、あの新門辰五郎ゆかりの、小さいながら流れ造りの素敵なお稲荷さんです。ここまで足を運ぶ人も多くはないのですが、雑踏から少しだけ離れて落ち着いた気持ちになれる好きな場所です。

表通りでは何故か神輿と反対方向にカメラを構える人たちが・・・振り向いた先には、アサヒビールと区役所の間にスカイツリー・・・恐るべしタワーパワー。水上バス乗り場も改修中で、吾妻橋辺りはなかなかの記念撮影スポットになりそうです。

2010年5月5日水曜日

今から大賑わい

今年のゴールデンウイークは天気も良くフラリと通りかかったスカイツリー周辺は大変な混雑。本家東京タワーを高さで抜いてから連日マスコミに登場することもあって、川沿いの抜け道が縁日のような人出で賑わっていました。これも「三丁目の夕日」効果なのでしょうか。

ケータイをかざす人からプロ用カメラ持参の人まで、皆さん記念撮影に余念がありませんが、なにしろ370mを超えようという高さまで来ていますから近くに寄ったら全貌が入りません。周辺に比較する建物がないため、見た目の印象より高いことに驚いているようです。

連休に合わせてか「観光客」向けにソフトクリームなどを売るお店もオープンしたり、居酒屋さんが昼から焼き鳥を売り始めたり、なかなかの繁盛ぶり。普段は歩道脇に駐車する車もほとんど見られない表通りにもギッシリと停車中のハザードランプが続きます。

この混雑ぶりは当然予想されていたことですから「ようやく始まったね」と会話する地元の人も多いのですが、とにかく、塔というものは驚くほどのエネルギーを引きつけるものだと感じます。実はこれ、昨年のまだ目立たない頃の方がハッキリと分かりました。目に見えない不思議な吸引力がエネルギーを静かに吸い寄せ天に向かって放出するかのような錯覚を覚えたものです。

表通りに残る古い建物もこのスカイツリーパワーで徐々に生まれ変わっていくのですが、低い建物から突き出るように伸びるタワーの写真もやがて懐かしいものに変わるはず。少し前に取り払われた商店街のアーケードが写っていたらもっと懐かしく思えたに違いないのですが。永く代わり映えのしなかったエリアが動き出し、望む変化と望まぬそれが同時にやって来る・・・黒船に喩える人がまた一人・・・そんな下町風景でした。