2013年2月20日水曜日

神田の藪

驚きました。神田の薮そばで火災。大正時代の木造建築で、店に入るだけでホッとするような懐かしさがあり蕎麦の味を引き立ててくれていたのに。

以前はここから歩いて行ける距離に事務所があったので、たまにはノンビリとお昼を食べに来たり打ち合わせを兼ねて一杯呑んだりしていたことを思い出します。
いつも大勢の客で賑わい活気があって、なんだか正真正銘の江戸っ子になったような錯覚に陥ったりして照れ笑いしたのが昨日のことのようです。

この近辺は、鍋、甘味、洋食など古い建物で営業続けている店があって有名な場所。一軒食べると次々はしごしたくなって困るほどですが、藪はその中心でしたからなんとも残念な思いでニュースを見ていました。画像を送ってくれた知人も「消火中は近づけなかった」そうで、消防士の皆さんご苦労さまでした。江戸時代の消火なら跡形もなく叩き壊されていたのでしょうが塀も建物もなんとか残っているのが痛々しくも有難い気持ちです。

この建物は復元できないのでしょうかね。もちろん秘伝のそばつゆを残念に思っている食通の方も多いでしょうが店の雰囲気が何よりの御馳走だったので無くなってしまうとしたら残念でなりません。

都会の古い木造建築は次々に火に強いものに建て代わってきました。残すことの全てが良いとは思わないのですが残って欲しい建物のひとつだったことを改めて思い知らされます。

もし解体されたら、何が建っていたのかあっという間に忘れ去られるのが常。私の記憶からは決して消えませんが、やはりもっと通っておけば良かったと後悔の念だけが湧いてしまいます。

古いものを大切に使い続けるというのは大変なことなのだと思います。だからこそそれ以上の味わいを返してくれるのではないかと。
古いものを大切にしてくれている方々に感謝しつつ、今夜は懐かしいレコードでも聴きながら通っていた頃に想いを馳せると致します。