2009年7月9日木曜日

下町の景観計画

先日、地元区役所の景観計画説明会に出席してきました。先月から1ヶ月間のパブリックコメント実施期間中の説明会で、今回の出席者は設計者を始めとする建築業界人がほとんどだったようです。

まず概略説明があり、景観法に基づいて計画された経緯、基本方針、制限内容などが説明されました。配布資料を見る限り、工事中の第2東京タワーを中心に整備計画を見直したものという印象を受けます。

出席者の中には第2東京タワーを「黒船」に喩えて、具体性に欠ける基準に疑問を呈し、またある方は「残すべきものは何も無いのだからもっと積極的に景観誘導する方向を検討すべき」との意見を述べられました。総じて出席者(建築系)はより明確な方針と強い規制を求めていたようです。

しかしながら実業界の意見とは大きなギャップがあるであろうことは容易に想像できます。こういう会合でいつも残念に思うのは、出席している専門家の多くが行政に対して上から目線で臨むこと。短い時間で問題を共有するのは難しいですからやむを得ないのですが、形式的な意見交換に終わり何も反映されないことは明らかでした。

下町で都市計画というと決まって「露地空間」という単語が出てきます。これを守れという議論は果たして妥当なのかどうか。4m未満の細街路は拡幅が義務付けられていますが、これは災害時の消防車での救助活動を想定したものでしょう。とすれば露地空間を残すには行政が法以下の緩い規制を通すことに責任を持たねばなりません。専用の小型消防車など救助車両やシステムの開発・維持が不可欠で相応の税金が必要となります。京の町屋と比較すること自体に意味は感じませんが、東京の下町はゆっくり開放されていくべきと思います。

浅草の凄さは「なんでもあり」なこと。花魁道中からサンバカーニバルまで全てを受け入れるエネルギーは大変なもの。その川向こうとしてはどんな町づくりをすべきなのか。いつ実施されるか判らない計画道路、それに面する商業地域が中途半端なまま発展しないことなど、もっと具体的な方策が聞けなかったのが残念でした。