2011年4月1日金曜日

液状化の今後

舞浜・新浦安エリアへ行ってきました。液状化被害が早くから報道されYouTubeで映像も見ていましたから大体の様子は分かっているつもりでした。既に3週間近く経っているので復旧も随分進んでいるように見えたのですが・・・

舞浜在住の友人の案内で自転車で移動。泥土の撤去が進んだ住宅街でも沢山の塀が傾いたままで、エリアによっては傾いていることがはっきり分かる住宅が並んでいるところも。今も家のポーチを箒で掃除している住人の方を見るとお気の毒でカメラを向ける事もできません。

道路にはあちこちに下水作業車が見られます。下水管の中で流れの良くない部分をマンホールから汲み上げているようでした。友人によれば、この2週間で一番嬉しかったのは「自宅のトイレが流せるようになったこと」だそうで、近所の公園などには今も仮設トイレが並んでいました。大きな通りの歩道には仮設の給水管が引かれていてポリタンクに注水している住民の方の姿も見かけます。それでも、上水はまだ良いそうで、下水が使えないのは本当に辛かったとのこと。顔を洗ってもその水を庭に運んで捨てねばならず、寒い夜に公園の不衛生な仮設トイレに行く・・・想像するだけで気が滅入ります。


斜めに沈下した交番、傾いた電柱や標識、60cm以上も舗装面と段差ができてしまったショッピングセンターやホテル、飛び上がっているマンホール・・・報道されているとおりなのですが、不思議なのは被害の大きいエリアとそうでないところが入り組んでいて、道路の左右で違ったり、同じ住宅地でも特定の通りに沈下が目立つものの、開発時期の同じ地区全体が被害を受けているようでもなさそう。住宅地では確かに古い開発地域は被害が少ないようなのですが実際の埋立・開発時期との関係は明確には感じられませんでした。大通りと裏道ではかなり印象の違うところもあり、今後の専門家の判断に期待します。

この湾岸エリアは「日本のLA」と言われていたほど人気があり、特に舞浜エリアは高級住宅地でそろそろ建替時期にも差し掛かっています。現に、新しい住宅を建て入居直前に震災にあった建物や地鎮祭の竹笹が立っている区画もありました。液状化については購入時から可能性を指摘されていて多少なりとも覚悟はしていたものの、実際に起きるとまでは思っていなかったというのが本音ではないでしょうか。しかしそれが現実になると、これから先また液状化被害に遭う恐れはないのか、という心配から住み続けることに懸念を抱いている人も多いはず。友人からも「一度液状化が起きれば以前よりも締まって心配は減るのでは」ということも質問されました。私は地盤の専門家ではないので明確な回答はできませんが、住民の方は、そういった不安や希望的観測が入り交じり夢を持った楽しい家づくりを考えることが難しい時期。仮に専門的な裏付けがあったとしても、説得と納得は違うので、可能ならば気持ちが落ち着く時間を取って欲しいところです。


この写真は耐震性飲料用貯水槽なのですが残念なことにマンホールが飛び上がってしまい期待通りは機能しなかったのではと想像します。浦安市は今回の災害でインフラ復旧と対策の貴重なノウハウを蓄積したことでしょう。今後同種の問題を抱えるかも知れない市町村にとっては最重要な情報提供者となるに違いありません。今回の経験を活かして、このエリアを今まで以上の「夢の街」に育ててくれることを願います。

4 件のコメント:

ユウジ さんのコメント...

震災の正式名称が東日本大震災に決まったようですね。それはともかく、生活するのに下水道が一番大事ですか。被災経験はないのですが想像してみて分かる気がします。ディズニーは大丈夫だったんでしょうか

プロトスペース さんのコメント...

ガスの復旧にも2週間かかったそうですから普通に生活できるようになるまでさぞ永かったことでしょう。とは言え、オール電化の場合は停電するとお湯も沸かせない訳で悩ましいですね。

ディズニーの内部は無事だったと聞きました。程度は分かりませんが、ガラス製品なども割れなかったとか。報道された駐車場はもう復旧が終わっているように見えました。

yuri さんのコメント...

こちらも建築の専門家のブログなんですね。
私の家も同じ地区ですが、やたらと被災した家を撮影して行く人が多くてうんざりしていました。ネットを見ていたら傾いた近所の家の写真をたくさん載せているブログがいくつもあり、住民の気持ちなんて考えてないようで暗い気持ちになります。
こちらは専門家なのに建物も載せてないところに好感を持ちました。住民に配慮してくれてるんだなぁと思えて嬉しいような気がして。それだけ言いたかったので。

プロトスペース さんのコメント...

ご近所ということですので随分御苦労されたこととお察し致します。技術者に悪い人はいないと信じていますが、無意識のうちに失礼があったかも知れません。同業としてお詫び申し上げます。

私とて何枚も撮影してしまいましたから同じことですね。ただ載せるとなると気が引けました。場合によっては資産価値にも影響が出そうでしたし、逆の立場だったらと思うと手が止まってしまって。

ご意見を聞かせていただき感謝します。今後も身勝手にならぬよう気をつけねばと。