そんな昔を懐かしんでいる頃、ある会社から「耐震改修をすることになったので設計図書を借りたい」とメールが来ました。駆け出しの頃に設計した30年も前の木造住宅で、当時の施主はアメリカに移り、今は中古物件として購入された方が気に入って下さっているとのこと。設計意図など共有できる情報も無いのに改修してさらに住み続けてくれると言うのですからこんなに幸せなことはありません。
住宅の性能は20年ほど前から目覚ましい進歩を遂げ30年前とは考え方も大きく飛躍しました。耐震はもちろん設備や断熱性能など現代の水準に合わせるのは容易いことではありません。はたしてその手間とコストに見合う空間を造れていたのか・・・自問しても答えは無く、全ては住んで下さる方の判断。ただただ感謝です。
段ボール箱の中から古い手描きの時代の資料を引っ張り出して原図を見ると、トレペが破れそうなくらい力いっぱい描いてあります。内容は冷や汗ものですが:-) 施主と連日打ち合わせを重ね、役所をグルグルと廻り 現場のコンパネに原寸を書いて決めたことなどが次々と思い出されます。随分無茶をやったもんです:-)
当時は建築写真家に撮影してもらう余裕も無く、現場写真の切り貼りに挫折してそのまましまいこんでありました。今ならパノラマ合成アプリでなんとかなるかもと試してみましたが、分割数が少ないのでやはり歪みまくりです:-)
設計した建物にはそれぞれに思い出があります。それは施主とのお付き合いの記憶でもあります。設計者が傲慢にデザインを押し付ける、なんてことは無くて、施主の思いを整理しながら一緒に形にしていくので、改めて図面を見るとそこにはあの頃の施主のイメージがそのまま残っていました。
こんなことを懐かしがるのは設計者だけかも知れませんね:-) 何故か今年はそんな年回りなのかと思う今日この頃です。
2011年4月20日水曜日
都心の木造
木造3階建ての小住宅が竣工しました。着工が遅れたために少し忙しい工事でしたが、無事引越しも済み入居後の雑工事も終わって気持良くお住まいいただいています。都心の一等地は地価も高く、厳しい敷地にギリギリまで建てる事になります。斜線制限もきびしく階高を抑えて天空率も使っての3階建て。絞り過ぎたかと思うほどのダイエット仕様で外周廻りの工事はさぞ大変だったことでしょう、ご苦労様。
不勉強で今まで取り組んで来なかったセルロースファイバーを使った断熱工法。今回初めて採用したのですが、残念ながら予算調整の段階で自然素材による内装を完全には行えませんでした。ビニールクロスを貼った部分もあるわけで、この違いがどれだけの差として現れるのか、心配でもあり興味深くもあります。
外部は塗壁もあればサイディング部分もあるという複合仕様。敷地状況からの選択でしたが、もっともっと吟味したいところです。最近人気のある縦格子の木製ルーバーをファサードの半分くらいに設けました。これも予算調整でアルミの代替案が浮上、しかしここは譲れないところ。断面サイズを調整して無垢で残すことができ、この家の存在感を増してくれています。
縦格子というのは不思議なもので自然と落ち着く感じがします。和風のつもりはなくても格子の中へ入るとフッと静かになったような・・・。メンテナンスは掛かりますが日差しの移ろいなど季節を楽しんでいただけたらと。
電力供給が心配な昨今、今年の夏はこの断熱性能と併せてクーラー最小で過ごせますように。
2010年12月31日金曜日
ようやく上棟
今年1年、苦労してきた住宅がようやく上棟しました。小さな敷地で高度斜線もかかるので木造3階建ては大変です。天空率も使ってギリギリいっぱいの計画。ちょっと無理しすぎたかな?と思うところもあるのですが、それだけ夢が詰まっているということですね。
この仕事では、独立したての頃しか記憶にないくらいの大変な凡ミスをして(^^ゞ 少し着工が遅れてしまいました。法規上の解釈について納得のいかないところがあり、役所に問い合わせに行きました。「ダメならダメで仕方が無いが、なぜ認めないのか条文なり通達なり根拠を示して欲しい」と問うと、上司と相談してきた担当者は「明確な条文などはないが役所としてはNoの判断。民間の確認検査機関でOKするところがあるならそちらに出したらどうか」との回答。
さすがにこれにはキレそうになりましたが(^^ゞ これ以上詰めても埒があかないので、別の表現を使い確認検査機関で申請は通しました。実際の計画は何も変わりません。随分ムダな時間を使ってしまった訳ですが、役所の審査課と確認検査会社の関係を考えさせられることになり、またしても「天下り」の文字が頭をよぎったものでした。
それはともかく、このプロジェクトで楽しみにしていることは、セルローズファイバーを使った断熱工法です。ホウ酸処理をしたセルローズファイバーを吹き込むものですが、ホウ酸がシロアリ対策にも有効で不燃化木材にも使われていることもあって期待大。この工法に実績のある棟梁からの推薦で採用することになったのですが、興味深いのは高気密ではないということ。長年ひっかかっていた高断熱・高気密の呪縛に答えが出てくれるのでは、との期待です。
春には竣工予定のこの住宅。決して大きくはありませんが期待は膨らむばかりです。皆様、良いお年をお迎えください。
2010年8月30日月曜日
夏の地鎮祭
今日は地鎮祭。儀礼的な行事は敬遠されがちな時代でも建築となればこれだけは欠かせません。若い神職の方が来られることも多いのですが本日は年配で声にも品のある落ち着いた宮司さんでした。祭壇は勿論、立派な鯛から野菜類まで全て準備してくれていて大変親切な対応、有り難いです。
あまりの暑さに今回は出席者全員が上着なしで参加しました。そもそも神事なのですから正装が基本、ネクタイは締めているものの上着なしは初めての体験で申し訳ない気持ちになります。滞りなく進み御神酒で乾杯、無事に終わってホッと一息です。
夏の地鎮祭とは言っても土用の丑はとうに過ぎ少しは涼しくなっても良さそうなものですが、今年は本当に暑い。こんな年は冬も寒いのではと心配になります。実はこの住宅では高気密ではない高断熱住宅にトライしようと考えています。この時期の気温と湿度、そして冬場の乾燥にどんな結果が出るのか期待しています。
2009年11月11日水曜日
御柱 斧入れ式

長野の旧武石村(今は上田市)では7年に一度の御柱の大祭があります。今年はその前年で御神木を伐り出す神事があり、その様子を特別に見学させてもらいました。
写真は斧入れ式前の御神木。春に選定、秋に斧入れ、そして来年春まで保管されて大祭となります。2004年に見た時は、華麗なお練り行列の後、子檀嶺神社の境内に無事立ち上げられました。
この御神木は相当期間を経てセリにかけられるそうですが、乾燥した立派な大木である上、縁起ものでもあり、なかなかの高値がつくんだとか。これだけの良木を使って家を建てたら末代までの自慢となることでしょう。
勇壮な諏訪の御柱と違ってこちらは百万石の大名行列を模したという歴史ある「お練り行列」が特徴。その絢爛豪華な祭事は町暮らし者には唖然とするほどゆったりと流れていきました。来年も県外からの沢山の見物客で賑わうに違いありません。
この村に縁ができた山の家も今年10年目を向かえ、夏には音響設計者とその先輩と私の3人を呼んでいただき記念パーティー。昨年完成したジャグージバスで山の時間を満喫しました。
10年を過ぎて外壁の無垢板も収縮が見られます。キツツキ被害も少し進んでしまいましたし、保護塗料塗布にあわせて手入れが必要な時期ですね。測定最低外気温-19℃、梅雨時の外部湿度は当然の100%、高地の強い紫外線も考えれば良く頑張ってくれているとも思います。
今回は別荘内での無線LANも実現、ネット接続はまだ低速ながらデッキで日向ぼっこしつつのtweetもご機嫌です:-) 「これなら住めるね」と、この土地とこの家に愛情を注いでくれる施主に感謝しつつ、ウトウト・・・気がつけば、随分と日に焼けてヒリヒリしながら家路に着いた秋の宵でありました:-)
2008年10月21日火曜日
16年後の冷や汗
今は長野在住の友人が東京にやって来るというので久しぶりに同級生3人で呑みました。昔ばなしから家族のこと仕事のこと、はたまた内緒なことなど・・・気兼ねなく話せる友は有難いものです。酔った勢いでもう一人の友人の家に泊めて貰うことに。この家を設計したのはもう16年以上も前のこと。広い庭も落ち着いた佇まいになり家族の歴史を感じさせてくれます。しかし中に入ると・・・当時の未熟さばかりが目に付いて冷や汗タラ~リ、酔いも一瞬に醒めるようです:-) とはいえ掃除の行き届いたリビングは居心地最高、また杯を重ねて夜も更にふけていきました。和室の客間で就寝、静けさも柔らかくあっという間に眠りの底へ。
設計時は、なるべく目立たないことも要件の一つでしたが・・・やっぱり大きい:-) 1・2階共に目立たない部分を増築していてそれから家の中が落ち着いたとか。バックヤード不足でしたね、これも未熟の証。
いろいろ反省もしつつ、熟睡して爽やかな朝帰りでした:-)
2008年10月6日月曜日
ジャグージバス設置完了
週末は、8月に完成したジャグージバス設置工事のお祝いで長野へ行ってきました。別荘設計当初からのご希望だった露天のジャグージバス。いつか必ずの思いを10年越しで実現されました。この機種はオールインワン型のためメンテナンス時に側面のパネルをはずす必要がありました。設計時は埋め込み予定だったので基礎は下げて造ってあります。搬入時の仮設足場も基礎に合わせて低く組んでいましたが、これがなかなか良い感じ。「いっそのことデッキを下げましょうか」の施主の一言で2段デッキにデザイン変更! これは手摺を低く抑えることができて景色を眺めるにも好都合。デッキの対称性は崩れるものの、視線の動きがまた楽しさを増してくれそうです。プライバシーを考慮して妻側の手摺はルーバー型でギリギリの高さに。これも現場で確かめて決まりました。
確認申請が厳しくなって行くご時世ではこんな作りながら考えるなんて喜びは味わえなくなっていくんでしょうね、現場の人は沢山のノウハウを持っているのに。今回も若き優秀な棟梁が丁寧に仕上てくれて感謝です。
あいにくの曇り空でしたが昼には陽も差してバーベキューパーティー:-) 山海の珍味を美味しくいただきました。ビックリするほど甘いトウモロコシや、BBQでは初めての秋刀魚など、もうお腹一杯:-) 酔いもまわったところで皆でジャグージへ
「ついに見つけました!」とメールを貰ったのが1年前。春が過ぎて搬入されたバスはパールホワイトに輝いていました。アメリカ製某社の製品は日本に代理店がなく個人輸入にも対応してもらえず実現しないままに年が過ぎていたのです。諦めることなくひとつひとつ着実に夢を実現して行く施主の姿に感動しつつ、酒を片手に泡に揺られて思い出話・・・幸せなひと時でした。
一面の雪景色の中、ライトアップされたジャグージの泡に揺られ満天の星に乾杯・・・そのためのサウナは10年も前からお待ちかねです:-)
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・施工:㈱樋沢産業/樋沢一幸 棟梁:森澤隼門
・サンダンス スパ:㈱ハスミコーポレーション
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1999年9月11日土曜日
山のステージ(美ヶ原の山荘)
美ヶ原の東南斜面に建つ、山を心地よく眺めるための計画。半地下のスタジオを持つ山荘「新在来木造工法」により大空間ながら温度差の少ない穏やかな室内を実現。施工者・樋沢氏自慢の丸太柱が屋根を支える空間にB&Oが響く
ソファはsimone、テーブルランプはkaori 特注家具にはスカルパのモチーフ・・・ そしてmagritta

当初の計画は「夏の家」でしたが計画が進むにつれ「冬の利用も」との要望が。季節ごとにオーナーと現地に足を運び、厳冬期の状況を確認のうえ新たに「冬の家」を提案。施主の人柄に加え長野の自然と人にも恵まれ、施主・設計者・施工者が最良の関係で竣工。現在も交友の続く夢のステージです。
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・施工:㈱樋沢産業/樋沢一幸 +上田住宅㈱/斉藤亘 棟梁:真壁
・スタジオ(音響設計):オフィス・トレース/味岡正典 施工:㈱ソナ/佐藤慶太
・設備工事:水工技研/小泉秀美 電気工事:電設/
・暖炉・擬石:トコナメトーコー 暖房設備:PSヒーター
・家具:シモン・ガヴィーナ・ジャパン(特注家具製作含む)/津川恕之
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1995年9月11日月曜日
1994年3月3日木曜日
のっぺらぼーの家
1986年9月11日木曜日
1984年9月7日金曜日
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