そんな昔を懐かしんでいる頃、ある会社から「耐震改修をすることになったので設計図書を借りたい」とメールが来ました。駆け出しの頃に設計した30年も前の木造住宅で、当時の施主はアメリカに移り、今は中古物件として購入された方が気に入って下さっているとのこと。設計意図など共有できる情報も無いのに改修してさらに住み続けてくれると言うのですからこんなに幸せなことはありません。
住宅の性能は20年ほど前から目覚ましい進歩を遂げ30年前とは考え方も大きく飛躍しました。耐震はもちろん設備や断熱性能など現代の水準に合わせるのは容易いことではありません。はたしてその手間とコストに見合う空間を造れていたのか・・・自問しても答えは無く、全ては住んで下さる方の判断。ただただ感謝です。
段ボール箱の中から古い手描きの時代の資料を引っ張り出して原図を見ると、トレペが破れそうなくらい力いっぱい描いてあります。内容は冷や汗ものですが:-) 施主と連日打ち合わせを重ね、役所をグルグルと廻り 現場のコンパネに原寸を書いて決めたことなどが次々と思い出されます。随分無茶をやったもんです:-)
当時は建築写真家に撮影してもらう余裕も無く、現場写真の切り貼りに挫折してそのまましまいこんでありました。今ならパノラマ合成アプリでなんとかなるかもと試してみましたが、分割数が少ないのでやはり歪みまくりです:-)
設計した建物にはそれぞれに思い出があります。それは施主とのお付き合いの記憶でもあります。設計者が傲慢にデザインを押し付ける、なんてことは無くて、施主の思いを整理しながら一緒に形にしていくので、改めて図面を見るとそこにはあの頃の施主のイメージがそのまま残っていました。
こんなことを懐かしがるのは設計者だけかも知れませんね:-) 何故か今年はそんな年回りなのかと思う今日この頃です。
2014年1月24日金曜日
あの頃の仕事・その1
あっという間に新年1月も終盤。今年の正月は何年も年賀状だけのお付き合いになっていた人から連絡戴いたりしまして、毎年手抜きして減っていく年賀状も捨てたもんじゃないと思い返してみたり:-)
自転車も楽しそうだねと様子を尋ねる人、今もコンピューターに詳しいと思い込んで相談してくる人などなど。そんな中に、以前設計した建物を解体することになったと連絡をくれた施主が・・・
そのスーパーマーケットは関東地方ながら主要駅からはかなり離れた立地。大型チェーン店の出店や人口減少などの逆風にも耐え地元のために頑張って来たはずですから無念だったに違いないのですが、そこは実業家、もう次に向けて動き出していました。
独立して間もない頃で実績も無いのに依頼してくれたオーナーと周辺店舗はもとより東京の著名店やショーなどにも連れて行ってもらいました。経営理念や地方の状況、1円商売の厳しさなどを聞きながら、駆け出しの若造に任せる意味と期待を私なりに汲み取って、地元の付き合いに配慮しつつも敢えてしがらみを断ち切る役目も担った思い出深い仕事でした。
当時は新しい店舗の例として社会科の教科書に載ったり見学依頼が絶えない元気な店舗でしたから訪ねるのが楽しい建物でもあったのですが、やはり一番の魅力は経営者その人だったと思い出されます。
最終的な解体費用は想定の1/3ほどだったとか。詳細は不明ながらほとんどの資材がリサイクル可能だったそうで廃棄物量が随分少なかったとのこと。技術が進んだこともありますが、大事に使ってくれていたのでしょう、有難いことです。
資料を整理していたら色あせたポラロイド写真が1枚。友人の阿部氏に描いてもらったパース(もちろん手描き)でしたが肝心のところがぼやけて良く見えません。徹夜で描いてくれたのに、ちゃんと残しておかずに・・・ゴメン:-)
自転車も楽しそうだねと様子を尋ねる人、今もコンピューターに詳しいと思い込んで相談してくる人などなど。そんな中に、以前設計した建物を解体することになったと連絡をくれた施主が・・・
そのスーパーマーケットは関東地方ながら主要駅からはかなり離れた立地。大型チェーン店の出店や人口減少などの逆風にも耐え地元のために頑張って来たはずですから無念だったに違いないのですが、そこは実業家、もう次に向けて動き出していました。
独立して間もない頃で実績も無いのに依頼してくれたオーナーと周辺店舗はもとより東京の著名店やショーなどにも連れて行ってもらいました。経営理念や地方の状況、1円商売の厳しさなどを聞きながら、駆け出しの若造に任せる意味と期待を私なりに汲み取って、地元の付き合いに配慮しつつも敢えてしがらみを断ち切る役目も担った思い出深い仕事でした。
当時は新しい店舗の例として社会科の教科書に載ったり見学依頼が絶えない元気な店舗でしたから訪ねるのが楽しい建物でもあったのですが、やはり一番の魅力は経営者その人だったと思い出されます。
最終的な解体費用は想定の1/3ほどだったとか。詳細は不明ながらほとんどの資材がリサイクル可能だったそうで廃棄物量が随分少なかったとのこと。技術が進んだこともありますが、大事に使ってくれていたのでしょう、有難いことです。
資料を整理していたら色あせたポラロイド写真が1枚。友人の阿部氏に描いてもらったパース(もちろん手描き)でしたが肝心のところがぼやけて良く見えません。徹夜で描いてくれたのに、ちゃんと残しておかずに・・・ゴメン:-)
2013年4月10日水曜日
耐震診断をしてみると
例年は年度末とは関係のない仕事ばかりなのですが、特定緊急輸送道路に面する建物の耐震診断に関わっていたので久しぶりに年度末に滑りこむスリルを味わいました。
東京都では特定緊急輸送道路に面する建物で一定の条件を満たすと耐震診断費用の全額が助成されることになり、昨年の春から施行されています。
神戸の大地震で倒壊したビルが幹線道路を塞いでいる映像が思い出されますが、まずは診断で現状把握、そして補強工事の推進、更に建て替え促進ということでしょう、大いに結構なことと思いました。
昨年、RC6階建ての集合住宅のオーナーから相談があり診断業務を引き受けました。実際は長い付き合いの構造事務所に診断作業をやってもらう訳で、こちらはオーナーとの調整や手配、申請業務だけと高をくくっていた訳ですが、結局は調査やレベル測定などいろいろやるはめに(^^ゞ
さて、実際に診断結果が出てみると、Is値が0.6を上回るのは最上階のみ。1階などは0.3をも下回る数値。これは倒壊の危険性ありに該当するのですからオーナーへの説明も大変です。
ご案内の通りIs値(地震の震動及び衝撃に対して倒壊または崩壊する危険性を表す指標)は以下の通り区分されています。
元々、今より緩い構造基準の時に設計・施工されているので、診断をすればまず間違いなくアウトの判定になるのは分かっていたのですが、さすがに0.3未満の「危険性が高い」判定にオーナーも困ってしまいました。
補強となれば、一度バルコニーを壊してアウトフレームを打設し内部にも耐震壁追加など、かなりの大工事となりそう。しかもそれで新耐震基準をクリアするわけではなく、倒壊をするまでに安全に避難できる時間を稼ぐ意味合いというのですから悩むのも当然です。まして築40年近く経っているのでRC造の寿命も考えれば大金を投じる補強工事は更に難しくなります。
結局、オーナーも提出報告書には「建替え検討中」と書かざるを得なくなってしまいました。
教育施設や病院などのほか歴史的建造物でもないと耐震補強工事の例が多くないのも無理からぬこと。特に集合住宅では、費用負担や不公平感など住民の合意形成が難しいでしょう。
ここ数年、耐震診断の相談がいくつかありましたが助成額の上限がそれほど高くないせいか見送りになるものばかり。民間の場合は今回の「全額助成」でもないとなかなか診断までもいかないのかも知れません。
とにかく今回は、地震時の安全と建築物の寿命に対しての費用対効果の間で悩むことになり、もっと永く使える建築を造らなければいけないのだと改めて考えさせられました。
東京都では特定緊急輸送道路に面する建物で一定の条件を満たすと耐震診断費用の全額が助成されることになり、昨年の春から施行されています。
神戸の大地震で倒壊したビルが幹線道路を塞いでいる映像が思い出されますが、まずは診断で現状把握、そして補強工事の推進、更に建て替え促進ということでしょう、大いに結構なことと思いました。
昨年、RC6階建ての集合住宅のオーナーから相談があり診断業務を引き受けました。実際は長い付き合いの構造事務所に診断作業をやってもらう訳で、こちらはオーナーとの調整や手配、申請業務だけと高をくくっていた訳ですが、結局は調査やレベル測定などいろいろやるはめに(^^ゞ
さて、実際に診断結果が出てみると、Is値が0.6を上回るのは最上階のみ。1階などは0.3をも下回る数値。これは倒壊の危険性ありに該当するのですからオーナーへの説明も大変です。
ご案内の通りIs値(地震の震動及び衝撃に対して倒壊または崩壊する危険性を表す指標)は以下の通り区分されています。
- 0.6以上: 危険性か低い
- 0.3以上0.6以下: 危険性がある
- 0.3未満: 危険性が高い
元々、今より緩い構造基準の時に設計・施工されているので、診断をすればまず間違いなくアウトの判定になるのは分かっていたのですが、さすがに0.3未満の「危険性が高い」判定にオーナーも困ってしまいました。
補強となれば、一度バルコニーを壊してアウトフレームを打設し内部にも耐震壁追加など、かなりの大工事となりそう。しかもそれで新耐震基準をクリアするわけではなく、倒壊をするまでに安全に避難できる時間を稼ぐ意味合いというのですから悩むのも当然です。まして築40年近く経っているのでRC造の寿命も考えれば大金を投じる補強工事は更に難しくなります。
結局、オーナーも提出報告書には「建替え検討中」と書かざるを得なくなってしまいました。
教育施設や病院などのほか歴史的建造物でもないと耐震補強工事の例が多くないのも無理からぬこと。特に集合住宅では、費用負担や不公平感など住民の合意形成が難しいでしょう。
ここ数年、耐震診断の相談がいくつかありましたが助成額の上限がそれほど高くないせいか見送りになるものばかり。民間の場合は今回の「全額助成」でもないとなかなか診断までもいかないのかも知れません。
とにかく今回は、地震時の安全と建築物の寿命に対しての費用対効果の間で悩むことになり、もっと永く使える建築を造らなければいけないのだと改めて考えさせられました。
2011年4月20日水曜日
都心の木造
木造3階建ての小住宅が竣工しました。着工が遅れたために少し忙しい工事でしたが、無事引越しも済み入居後の雑工事も終わって気持良くお住まいいただいています。都心の一等地は地価も高く、厳しい敷地にギリギリまで建てる事になります。斜線制限もきびしく階高を抑えて天空率も使っての3階建て。絞り過ぎたかと思うほどのダイエット仕様で外周廻りの工事はさぞ大変だったことでしょう、ご苦労様。
不勉強で今まで取り組んで来なかったセルロースファイバーを使った断熱工法。今回初めて採用したのですが、残念ながら予算調整の段階で自然素材による内装を完全には行えませんでした。ビニールクロスを貼った部分もあるわけで、この違いがどれだけの差として現れるのか、心配でもあり興味深くもあります。
外部は塗壁もあればサイディング部分もあるという複合仕様。敷地状況からの選択でしたが、もっともっと吟味したいところです。最近人気のある縦格子の木製ルーバーをファサードの半分くらいに設けました。これも予算調整でアルミの代替案が浮上、しかしここは譲れないところ。断面サイズを調整して無垢で残すことができ、この家の存在感を増してくれています。
縦格子というのは不思議なもので自然と落ち着く感じがします。和風のつもりはなくても格子の中へ入るとフッと静かになったような・・・。メンテナンスは掛かりますが日差しの移ろいなど季節を楽しんでいただけたらと。
電力供給が心配な昨今、今年の夏はこの断熱性能と併せてクーラー最小で過ごせますように。
2007年9月12日水曜日
SAINT.D
遊技場としての役目を終えたビルの1階を音楽スタジオとしてリニューアル。美術館など文化施設が点在する町並みに少しでも馴染んでくれるようにラフな石張りの外観を選びました。片方の柱はダミーでエントランスを交差点に向けて斜めにしました。
小スタジオながら音響性能はレコーディングスタジオのグレード。コントロールブースもコンパクトながら充実の機器類。2つのスタジオは一般的なバンド練習や篠笛教室、ロビーや廊下はサロン・ギャラリーとしても利用されています。

------------------------------
コーディネーター:村岡辰也
音響設計:オフィス・トレース
------------------------------
2004年9月12日日曜日
今井歯科医院
多方面で情報発信を続ける好奇心旺盛な院長が診療所を直近のビルへ移転することに。 都内の外人専用デンタルオフィスを見学しアメリカ視察を決断、院長に同行しサンディエゴへ。
盛り込まれたアイデアは数十におよび、基本は「患者さんにとって心地良い診療所」を目指して。
多くの部分を院長自らデザインし、今も進化し続ける遊び心いっぱいの診療所です。

ブリーズラインによる空調システムでドラフトのない穏やかな院内。TVモニター埋め込みパネルと照明のコンビネーションですっきりとした天井に。
エントランス左のパネル部分は空調のリターンチャンバーを兼ねたショーウインドウ。床上には炭を置き脱臭効果を期待しています。

ブリーズラインによる空調システムでドラフトのない穏やかな院内。TVモニター埋め込みパネルと照明のコンビネーションですっきりとした天井に。
エントランス左のパネル部分は空調のリターンチャンバーを兼ねたショーウインドウ。床上には炭を置き脱臭効果を期待しています。
------------------------------------------------
院長自身が公開している診療所紹介ページ
------------------------------------------------
院長自身が公開している診療所紹介ページ
------------------------------------------------
2002年9月12日木曜日
1999年9月11日土曜日
山のステージ(美ヶ原の山荘)
美ヶ原の東南斜面に建つ、山を心地よく眺めるための計画。半地下のスタジオを持つ山荘「新在来木造工法」により大空間ながら温度差の少ない穏やかな室内を実現。施工者・樋沢氏自慢の丸太柱が屋根を支える空間にB&Oが響く
ソファはsimone、テーブルランプはkaori 特注家具にはスカルパのモチーフ・・・ そしてmagritta

当初の計画は「夏の家」でしたが計画が進むにつれ「冬の利用も」との要望が。季節ごとにオーナーと現地に足を運び、厳冬期の状況を確認のうえ新たに「冬の家」を提案。施主の人柄に加え長野の自然と人にも恵まれ、施主・設計者・施工者が最良の関係で竣工。現在も交友の続く夢のステージです。
---------------------------------------------------------------------------
・施工:㈱樋沢産業/樋沢一幸 +上田住宅㈱/斉藤亘 棟梁:真壁
・スタジオ(音響設計):オフィス・トレース/味岡正典 施工:㈱ソナ/佐藤慶太
・設備工事:水工技研/小泉秀美 電気工事:電設/
・暖炉・擬石:トコナメトーコー 暖房設備:PSヒーター
・家具:シモン・ガヴィーナ・ジャパン(特注家具製作含む)/津川恕之
---------------------------------------------------------------------------
1995年9月11日月曜日
1994年3月3日木曜日
のっぺらぼーの家
1992年9月11日金曜日
1988年9月13日火曜日
1986年9月11日木曜日
登録:
投稿 (Atom)



















